近年、日本では地震、豪雨、台風などの自然災害が頻発しています。いざという時に私たちの命を守るのは、適切な情報と備えです。現代社会において、スマートフォン(以下、スマホ)は災害時における重要な情報収集・連絡手段となりました。本記事では、防災におけるスマホの活用法と準備について、最新情報をまとめてご紹介します。
1. スマホが災害時に果たす重要な役割
総務省の調査によれば、日本におけるスマホの個人保有率は74.3%を超えており、多くの人にとって生活に欠かせないツールとなっています。災害発生時、スマホは以下のような役割を担います:
- 情報収集: 災害速報、避難指示、ライフライン情報など
- 連絡手段: 家族や友人との安否確認
- 位置確認: GPSによる現在地確認、避難所の検索
- ライト機能: 停電時の照明として活用
- 電子マネー: 現金が使えない状況での決済手段
しかし、パナソニックの「防災意識アンケート2021」では、「準備・所持しておけばよかったと後悔したもの」としてモバイルバッテリー(スマホ充電器)が最も多く挙げられました。情報を得るために頻繁にスマホを使用し、結果として充電切れとなり、外部との連絡が取れなくなったという声も少なくありません。
2. 災害時に役立つスマホアプリ8選
スマホを防災ツールとして最大限活用するには、適切なアプリの準備が欠かせません。以下に、防災に役立つおすすめアプリを8つご紹介します。
1. Yahoo! 防災速報
地震や豪雨、津波など総合的な防災情報が収集できるアプリです。公的機関や自治体が発信する信頼性の高い情報を使用しており、事前に「◯mm/h以上の雨で通知」、「震度◯以上で通知」など、細かな設定が可能です。
2. NHKニュース防災
全国各地のネットワークを活かした網羅性と、情報の信頼性・速報性を兼ね備えたアプリです。地震や大雨、津波などの災害情報をプッシュ通知で即座に受け取れます。
3. 特務機関NERV防災
情報の速報性に優れた防災アプリです。Twitterでも有名なアカウントが提供しており、気象庁から発信される情報を使用。災害時に必要な情報のみを表示する見やすい画面設計が特徴です。
4. 全国避難所ガイド
避難所情報に特化した防災アプリです。GPSを利用して現在位置周辺の避難所を表示するため、旅行先や出張先など慣れない場所でも迅速に避難場所を見つけられます。
5. 自治体の防災アプリ
お住まいの自治体が提供している防災アプリは、地域特有の細かい情報を得るために非常に有用です。避難所情報や誘導・案内機能も充実しています。
6. ココダヨ(COCODAYO)
家族の安否・居場所確認に特化したアプリです。災害警報と連動して、登録メンバーの位置情報を受信し、家族の居場所を素早く特定できます。
7. キキクル(危険度分布)
気象庁が提供するサービスで、大雨による土砂災害や浸水、洪水の危険度を視覚的に確認できます。さらに1〜3時間先の危険度も予測できるため、避難判断に役立ちます。
8. Maps.Me
オフライン環境でも使える地図アプリです。災害時にネットワークが切断されても、事前にダウンロードしておけば地図情報にアクセス可能です。
3. スマホの電池を長持ちさせる方法
災害時、充電できる環境がなく、スマホの電池を節約することが必要になる場合があります。以下は電池を長持ちさせるための設定方法です。
省エネモードの活用
多くのスマホには省エネモードが搭載されています。
- iPhone: 設定 → バッテリー → 低電力モード
- Android: 設定 → バッテリー → 省電力モード
画面の明るさを調整
画面の明るさを下げることで、バッテリー消費を大幅に抑えられます。また、自動ロックまでの時間を短く設定しましょう。
不要な通知をオフにする
通話やSMSなど必要最小限の通知以外はオフにすることで、バックグラウンドでの電池消費を抑えられます。
電波状態が悪い場所では機内モードに
電波状態が悪い場所では、スマホが電波を探すために電池を消費します。機内モードに設定することで電池消費を最小限に抑えられます。
アプリのバックグラウンド更新をオフにする
使用していないアプリのバックグラウンド更新をオフにすることで、電池消費を抑えられます。
4. 防災グッズとしてのスマホ充電器選び
災害時に備えるためのスマホ充電器を選ぶ際は、以下のポイントを押さえましょう。
バッテリー容量は20,000mAh以上がおすすめ
災害時はいつ再充電できるか分からないため、できるだけ大容量のモバイルバッテリーを選びましょう。20,000mAhあれば、一般的なスマホを4〜5回充電できます。
スマホ以外も充電できるタイプを検討
「ポータブル電源」と呼ばれる、AC出力を備えた充電器を選べば、スマホ以外の電子機器も充電可能です。家庭に1台あると、自宅避難の際にも安心です。
複数の充電方法を確保する
基本的なモバイルバッテリーに加え、以下の充電器も備えておくと安心です:
- 乾電池式充電器: 乾電池を交換することで継続して使用可能
- 手回し充電器: 手動で発電できるため、電源がなくても使用可能
- ソーラーパネル式充電器: 太陽光で発電可能(天候に左右されるのが難点)
5. 災害時に使える緊急SOS機能
多くのスマホには緊急SOS機能が搭載されています。いざという時に慌てないよう、操作方法を事前に確認しておきましょう。
iPhoneの場合
電源ボタンと音量ボタンを同時に長押し、または電源ボタンを素早く5回押すことで緊急SOSが表示されます。スライダーを操作すると、緊急連絡先に位置情報とともに通知が送られます。
Androidの場合
ロック画面から「緊急通報」を選択できます。また、機種ごとに独自のSOS機能が搭載されていることが多く、電源ボタンを素早く押すなどの操作で緊急連絡先に通知を送信できます。
6. 災害への事前準備チェックリスト
スマホを災害時に活用するための事前準備として、以下のチェックリストを参考にしてください:
7. 災害時にも使える通信手段
災害時には通常の通信回線が混雑したり使用不能になる可能性があります。そのような状況でも使える通信手段を知っておきましょう。
災害用伝言サービス
大規模災害時には、各通信キャリアが災害用伝言サービスを提供します。使い方を事前に確認しておきましょう。
災害時無料Wi-Fi「00000JAPAN」
災害時には「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」という無料Wi-Fiが開放されます。使い方を知っておくと便利です。
SMSの活用
通話がつながりにくい状況でも、SMSは比較的つながりやすいとされています。家族との連絡手段として活用しましょう。
まとめ:いつでも使えるスマホが命を守る
スマホは正しく活用することで、災害時の強力な味方になります。上記の対策を実践し、いつ災害が発生しても適切に対応できる準備をしておきましょう。また、定期的に防災アプリや充電器のチェックを行い、いざという時に確実に使えるようにしておくことが大切です。
災害はいつ起きるかわかりません。「備えあれば憂いなし」の精神で、日頃からスマホの防災活用について考え、実践していきましょう。